【2】(聖婚の刻印 外伝)クリスマスストーリー

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外伝 紅と銀のクリスマス🔔🎄

🎄 第二話:紅の姫が迎えに来た日【リリス視点】


わらわのクリスマスは、いつも静かじゃった。

父上は魔界の王様じゃ。
とても忙しくて、わらわが六つになる頃には、
一緒に過ごす時間は、ほとんどなくなっておった。

クリスマスの数日前のこと。

父上はふいに、こんなことを言った。

リリスの父:「リリス。近々お前に“妹”ができるかもしれない。

最初は耳を疑った。

リリス:「……わらわの妹??

リリスの父:「あぁ、話しておらなんだがお前には血を分けた妹がおる。
わしとの血はつながっておらんが、お前とは血がつながっておる。
実の妹名前は【ミラ】だ。

父上はそう言って続けた。

リリスの父:「わしはその娘の父親殿とは昔から面識があってな。
父親殿はメガポーションを初めて作り上げた今では全世界に知れ渡る有名な科学者だ。
あまり目立ちたくないたちだったから隠れて研究をつづけていたようだが、ついに完成してな。
今やその名を知らない者はいないところまで彼の名は知れわたり貴族たちが放っておかなくなってしまった。

娘の存在が知られれば娘の【ミラ】もどうなるかは分からん。そこでわしに託したのだ。
わしの力で何とかしてやりたかったが、魔界と妖魔界の間に亀裂が入るやもしれんからな。手は出せんくてな。」

リリスの父:「もし、妹と一緒に暮らすことになったら仲良くできるな?

リリス:「もちろんじゃ! いつくるのじゃ??

リリスの父:「いつになるかは分からん。

わらわの父上はいつも忙しく、
広すぎる城で一人遊ぶことの方が多かった。
だからこそ──

その言葉を聞いた瞬間、
驚きと喜びが一気に溢れた。

リリス:(わらわに自分より年下の妹がいた……!
家族が増えるのじゃ!)

その日からずっと、胸がぽかぽかしていた。

次の日、ミラが一人静かに父の帰りを待ち絵本を読んでいた頃、
そのずっと遠く、魔界の城では、
ひとりの少女が慌ただしく走り回っていた。

理由はただひとつ。

“妹ができるかもしれない”。
父上が昨夜、そう告げてくれたからだ。


リリス
「父上! クリスマスの夕食はなにが良いかのう??
ツリーの飾りつけももう少し増やそうかのう?」

リリスの父:「……リリス。少し落ち着け。

父上の声音は穏やかだが、どこか慎重でもあった。

リリスの父:「昨日も言ったが……まだ“決まったわけではない”のだ。

リリス:「つまり……今日来るかもしれんし、来ないかもしれんということか?

リリスの父:「そういうことだ。

わらわはリボンを抱えたまま、小さく唇を尖らせた。

リリス:「来ても来なくても一緒にクリスマスパーティすればいいのじゃ!

リリスの父:「リリス……

リリス:「わらわは今日、妹に会いにいきたいのじゃ!
仲良くしたいのじゃ!

リリスの父:「わかった。

その微笑みは、どこか寂しげでもあった。
しかし幼いわらわには、その理由が分からなかった。

【夕方】

夕方になると、父上はどこかへ出かけた。
そしてしばらくして戻ると、厳しい顔で言った。

リリスの父:「ミラの父親殿は……戻れなくなったようだ。
リリス。少し早いが、すぐ出るぞ。

わらわは “妹に会える喜び” と、
“妹の父が戻らない” という現実の狭間で、胸がぎゅっと締めつけられた。

深い事情は分からなかった。
しかし父上の声の重さだけで察した。

リリス:(……ミラは、一人で待っておるのじゃな。

胸が痛くなり、わらわは拳を握った。

リリス:(わらわがしっかりせねば……今日から姉なのじゃ!

【ミラの家】

夜。
雪が静かに降る小さな家。

父上がノックすると、小さな足音がぱたぱたと近づいた。

扉が開く。 そこに立っていたのは── 月の光を受けて淡く輝く、長い“銀髪”の少女。 氷のように透き通った青い瞳。 リリス:(……この子が、ミラ?) その瞳は今にも涙をこぼしそうに揺れていた。 わらわは思わず息を呑んだ。 だから勢いよく声を上げた。 リリス:「メリークリスマス!  わらわからプレゼントじゃ!!」 ミラはびくっと肩を震わせ、 それでも小さな手で包みを受け取った。 その後ろで父上が静かに言う。 リリスの父:「……リリス。お前からのではないぞ。」 ミラの指が止まる。 リリスの父:「……急にすまない。驚かせるつもりはなかったんだ。君の父に頼まれていてな。」 父上はそれだけ言い、黙った。 ミラも──それ以上は聞こうとしなかった。 父上の顔が怖かったのではない。 “真実を知るのが怖い” のだと、わらわは感じた。 【プレゼント】 ミラは包みを開けた。 中には一冊の冒険譚の本。 ページをそっと開いた瞬間、 ミラの小さな鼻が、くん……と動いた。 そして── ほんの少しだけ、表情が柔らいだ。 胸の奥がぎゅっと締めつけられ、 わらわは思わず手を伸ばした。 リリス:「ミラ、ついてくるのじゃ。  今日からそなたはわらわの妹じゃ!」 ミラは驚いたように見上げ、 そして、こくんと頷いた。 わらわは嬉しさに胸がいっぱいになった。 【転移】 リリスの父:「では移動するぞ。 持っていくものはないか?ミラ:「これだけでいい。」 ミラは本をぎゅっと胸に抱きしめた。 父上はその様子を見て、小さく頷く。 そして腕を軽く振った。 足元に紋章が浮かび上がり、 淡い光が、わらわたちを包み込んだ。 リリス:(父上の転移魔法じゃ。) 次の瞬間── そこは、よく知る城の廊下だった。 冷たい石の床。 高く、静かな天井。 ミラは少し驚いたように目を見開き、 それから、何も言わずに立ち尽くしていた。 その横顔は、 どこか寂しそうにも見えた。 わらわは、 そんなミラを放っておけず── そっと、手を差し伸べた。

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