(聖婚の刻印シリーズ 外伝)クリスマスストーリー

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外伝 紅と銀のクリスマス🔔🎄

🔔第1話:銀の涙とクリスマスの夜

雪が降っていた。
窓の外に、白い粒が静かに舞い落ちていく。

ミラ:「……今年も、もうすぐクリスマスか。

ボクは小さく息を吐いた。

クリスマスは……どうしても思い出してしまう。
あの日のことを。
父の言葉を、そして“帰らなかった夜”を。

──これは、ボクがまだ幼かった頃の話。

ボクのクリスマスは、決して豪華ではなかった。

父さんは学者で、
いつも研究に追われていたけれど、
それでも、クリスマスだけは必ず一緒にいてくれた。

小さな家。
古い暖炉。
飾りも少ないツリー。

それでも──
父さんがそばにいてくれる夜は、
それだけで、十分だった。

クリスマスの前日──父は家を出た。

ミラの父:「クリスマスには必ず帰るよ。

父さんは静かな声でそう言った。
いつも通りの安心できる声だった。

父は家を空けることが多かったけれど、
どれだけ遅くなっても“夜には必ず帰ってきた”。
ボクを一人にしたことなんて、一度もなかった。

だからその日も、父の言葉を疑う理由はどこにもなかった。

ミラ:「いってらっしゃい、父さん。

父は振り返り、少しだけ目を細めた。
一瞬だけ、いつもと違っていた気がした。

その言葉が最後になるとはこの時のボクは想像もしていなかった。

その夜、小さなクリスマスツリーの飾りつけをしながら
ボクはいつものように父の帰りを待っていた。

深々と降り積もる雪の音だけが静かに聞こえ、
部屋の中では暖炉の火だけがかすかに揺れていた。

日は暮れていき、雪は深さを増していく。

ミラ:(父さん遅いな~

飾りつけられた小さなクリスマスツリーをぼーっと眺めながらボクは待っていた。

けれどボクは、心配などしていない。
父は約束を破ったことが、今までに一度もなかったからだ。

だからこの日も、
少し遅れているだけだと思いながら、
絵本を読みつつ待っていた。

けれど、その夜だけは違っていた。
時間は、すでに夜の10時を回っている。
いつもならもう帰って夕飯の準備をしている時間だ。

少しの不安が頭をよぎる。

ミラ:「……父さん大丈夫かな…?

帰ってくるはずの父を、幼いボクは座って、ただじっと待つことしかできなかった。
暖炉の火が小さくなり、部屋の温度が下がっていく。

サキュバスと雪の精霊との間に生まれたボクはもともと寒さに耐性があった。
それでも心だけはゆっくりと冷えていく。

❄️【そして──】

気づくと、ボクの目には涙があふれそうになっていた。

ミラ:「……父さん?

呼びかける声がもう一度漏れた、その時だった。

コン、コン。

静かな家の中に、突然ノックの音が響いた。

──帰ってきた。

ボクは反射的に立ち上がり勢いよく玄関に駆けていく

…けれど、扉を開けた先にいたのは──
赤い髪の少女と、見知らぬ強面の大男だった。

ミラ:「誰?!

お父さんとは違う見ず知らずの来訪者に不安でいっぱいになり泣き叫びそうになる。そんな時―

紅い髪の女の子:「メリークリスマス! わらわからプレゼントじゃ!

元気いっぱいの少女がそう言って包みを差し出す。

強面の大男:「おいリリス。お前からのプレゼントじゃないぞ。

リリスと呼ばれたその少女がむくれた顔をする。
その背後で、強面の大男が静かに頭を下げた。

強面の大男:「……急にすまない。驚かせるつもりはなかったんだ。君の父に頼まれていてな。

低い声が家の中に響いた。

それ以上、男は何も言わなかった。
ボクも……それ以上、聞けなかった。

怖かったのは男の顔ではなく──
もし“聞いてしまったら”、何かが壊れてしまう気がしたからだ。

そっと包みを開けると、
中には本が一冊入っていた。

ボクが大好きな、冒険譚の本。
ほんの少しだけ、懐かしい香りがした。

それだけで、
胸の奥が、ほんの少しだけ温かくなった。

父が約束を破ったのは、あの日が初めてだった。

幼いボクの心に残ったのは、
“理由のわからない寂しさ” と、
“届かなくなった父の背中” だけ。

──今もクリスマスの雪を見ると必ず思い出す。

別れの言葉も残さず、
急に消息を絶った父のことを……。

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